BMWグランツアラーで後悔？3列目や維持費で泣かないための全知識

「駆け抜ける歓び」をスローガンに掲げるBMWから登場した、ブランド初の3列シート7人乗りMPV（多目的車）、「2シリーズ グランツアラー」。スタイリッシュなデザインとBMWならではの走行性能、そして家族みんなで乗れる実用性を兼ね備えた一台として、アクティブなファミリー層を中心に注目を集めています。しかし、その一方で、「3列目が思ったより狭くて後悔した」「BMWなのにFFなんて…」「維持費が意外とかかる」といった、ネガティブな口コミや評価も目にすることがあります。

憧れのBMWブランドで、しかも家族みんなで乗れる7人乗り。夢は膨らみますが、購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔するのは絶対に避けたいですよね。その気持ち、本当によく分かります。私も以前、子供が生まれたタイミングで3列シート車を検討した際、グランツアラーのデザインに惹かれつつも、その実用性やBMWとしての本質について、大いに悩んだ経験があります。

でも、もう大丈夫です。この記事では、BMW 2シリーズ グランツアラーで後悔しがちなポイントを、実際のオーナーの声や専門家の評価、そしてライバル車との比較を交えながら、徹底的に洗い出していきます。そして、どのような人がグランツアラーを選ぶと幸せになれるのか、また、購入前に必ずチェックすべき注意点や、賢い維持方法まで、具体的にお伝えします。

結論から言えば、グランツアラーは、全ての人にとって完璧なファミリーカーではありません。しかし、BMWというブランドにこだわりがあり、日常の運転も楽しみたい、そして時には大人数で移動したい、という欲張りなニーズを持つ人にとっては、これ以上ないほど魅力的な選択肢となり得ます。ただし、そこにはいくつかの「理解」と「割り切り」が必要不可欠。その全てを、この記事で明らかにしていきましょう。

BMWグランツアラーで後悔する前に知っておきたい7つの落とし穴

3列目シートは本当に使える？大人が長時間乗ると後悔する狭さ

BMW 2シリーズ グランツアラーが、多くのファミリー層から注目される最大の理由。それは、BMWブランドでありながら「7人乗り3列シート」を実現しているという点にあります。しかし、この3列目シートの実用性こそが、購入後に「後悔した」という声が最も多く聞かれるポイントの一つなのです。

グランツアラーのボディサイズは、全長4565mm、全幅1800mmと、日本の道路環境でも比較的扱いやすいコンパクトなものです。この限られたスペースの中に3列のシートを配置しているため、物理的に3列目の居住空間は非常にタイトにならざるを得ません。カタログでは7人乗りと謳っていますが、実際に大人が3列目に座ると、膝の前や頭上のスペースはほとんどなく、体育座りのような窮屈な姿勢を強いられます。

短時間の移動であれば我慢できるかもしれませんが、長距離ドライブとなると、大人にとってはかなりの苦痛を伴うでしょう。また、3列目へのアクセスも、2列目シートを倒して乗り込む必要があり、決してスムーズとは言えません。このため、グランツアラーの3列目シートは、「日常的に大人7人が快適に乗れる」というものではなく、あくまで「いざという時のための緊急用」あるいは「小学生くらいまでの子供用」と割り切って考える必要があります。

以下はグランツアラーと国産ミニバン（Mクラス）の3列目スペースに関する一般的な評価です。

もし、あなたが日常的に6人や7人で乗車する機会が多いのであれば、グランツアラーは期待外れに終わる可能性が高いです。「BMWだから、3列目もきっと素晴らしいはず」という過度な期待は禁物。この点を理解せずに購入すると、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになるでしょう。

グランツアラーは、あくまで「5人乗りが基本で、プラス2人のエマージェンシーシートが付いているプレミアムコンパクト」と捉えるのが正解です。この割り切りができるかどうかが、購入後の満足度を大きく左右するのです。

BMWなのにFF（前輪駆動）？駆け抜ける歓びは期待できるのか

BMWといえば、「FR（フロントエンジン・リアドライブ）」レイアウトが生み出す、スポーティでダイレクトなハンドリング、すなわち「駆け抜ける歓び」がブランドの真髄です。しかし、2シリーズ グランツアラー（およびアクティブツアラー）は、BMWのラインナップの中では異端とも言えるFF（フロントエンジン・フロントドライブ）プラットフォームを採用しています。この点が、長年のBMWファンや、走りにこだわるユーザーから、「本当にBMWらしい走りが楽しめるのか？」という疑問や不安の声、そして時には「後悔した」という評価に繋がっています。

確かに、FFとFRでは、運転した時のフィーリングが異なります。アクセルを踏み込んだ時のフロントタイヤの挙動や、コーナーリング時の回頭性など、FF特有のクセを感じる場面があるかもしれません。特に、これまでFRのBMWを乗り継いできたようなベテランドライバーにとっては、その違いが物足りなさや違和感として感じられる可能性があります。「やっぱりBMWはFRじゃないと…」という思いが、後悔に繋がるのです。

しかし、だからといって、グランツアラーの走りがつまらないわけでは決してありません。そこは百戦錬磨のBMW。たとえFFプラットフォームであっても、長年培ってきたシャシー技術やサスペンションセッティングのノウハウを惜しみなく投入し、BMWらしいスポーティなハンドリングを実現しています。ステアリングを切れば、ドライバーの意図した通りに素直にノーズが向き、安定した姿勢でコーナーを駆け抜けていきます。その軽快な身のこなしは、背の高いMPVであることを忘れさせるほど、運転していて楽しいものです。

特に、1.5L 3気筒ターボエンジンや、2.0L 4気筒ディーゼルターボエンジンは、コンパクトなボディを活発に加速させ、日常域での扱いやすさと、いざという時の動力性能をバランス良く両立しています。また、オプションで選択可能な「Mスポーツ」グレードを選べば、専用のサスペンションやエアロパーツによって、さらに引き締まったスポーティな走りを手に入れることができます。

もちろん、M3やM4のようなピュアスポーツモデルの刺激を期待するのは酷ですが、「家族も乗せる実用的なクルマでありながら、運転する楽しさも諦めたくない」というニーズに対して、グランツアラーは十分に満足のいく答えを提示してくれます。「FFだからダメ」と決めつけずに、一度試乗して、その走りの実力を自分の肌で感じてみることが大切です。

内装の高級感は期待外れ？BMWブランドに対する過度な期待

BMWというブランドネームを聞くと、多くの人がスポーティな走りとともに、上質で高級感あふれるインテリアを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、2シリーズ グランツアラーの内装に、3シリーズや5シリーズセダンのような、重厚でラグジュアリーな質感を期待していると、少し肩透かしを食らうかもしれません。この「期待と現実のギャップ」が、一部のユーザーに「思ったより高級感がない」「安っぽい」と後悔させる要因となっています。

グランツアラーのインテリアは、BMWらしく機能的でドライバーオリエンテッドなデザインであり、操作性も良好です。しかし、使われている素材や加飾は、上位モデルと比較すると、やはりコストの制約を感じさせる部分があります。例えば、ダッシュボードやドアトリムの一部にハードプラスチックが使われていたり、スイッチ類の質感がややチープに感じられたりするかもしれません。

これは、グランツアラーが、BMWのラインナップの中では比較的エントリーに近いモデルであり、かつ、3列シートという実用性を追求したMPVであるという成り立ちに起因します。限られた車両価格の中で、走行性能や安全装備にコストを重点的に配分した結果、内装の華やかさという点では、ある程度の割り切りがなされているのです。

もちろん、決して質が低いわけではありません。シートの出来栄えや、組み立て精度などは、さすがBMWと言えるレベルを保っています。また、オプションのレザーシートや、ウッドパネルなどを選択すれば、高級感を高めることも可能です。しかし、「BMWだから、どんなモデルでも最高の高級感が味わえるはず」という先入観を持っていると、標準仕様の内装を見て、少し物足りなさを感じる可能性があります。

大切なのは、グランツアラーが「プレミアムコンパクトMPV」という、独自のポジションにあることを理解することです。メルセデス・ベンツのBクラスや、フォルクスワーゲンのトゥーランといったライバルと比較すれば、その質感は十分に競争力があります。BMWブランド全体の中で比較するのではなく、同じカテゴリーのクルマとして評価することが、後悔しないための正しい視点と言えるでしょう。

ランフラットタイヤ標準装備！乗り心地の硬さと交換費用に注意

BMW 2シリーズ グランツアラーの乗り心地や維持費に関して、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔するポイントの一つが、標準装備されている「ランフラットタイヤ」の存在です。ランフラットタイヤは、パンクして空気が完全に抜けてしまっても、一定の速度で一定の距離（例：80km/hで80km程度）を走行し続けることができるという、非常に便利なタイヤです。スペアタイヤを積む必要がないため、スペース効率にも貢献します。

しかし、このランフラットタイヤには、いくつかのデメリットも存在します。最も多く指摘されるのが、「乗り心地の硬さ」です。ランフラットタイヤは、タイヤのサイドウォール（側面）の剛性が非常に高く設計されているため、通常のタイヤと比較して、路面からの細かな振動や衝撃を吸収しにくい傾向があります。そのため、特に荒れた路面や段差を通過する際に、ゴツゴツとした硬い乗り心地を感じやすく、ファミリーカーとしての快適性を損ねると感じるユーザーも少なくありません。

また、交換時の費用が高額になるという点も、大きなデメリットです。ランフラットタイヤは、特殊な構造と高い技術が必要とされるため、同じサイズの通常のタイヤと比較して、1本あたりの価格が1.5倍から2倍程度になることも珍しくありません。4本全てを交換するとなると、かなりの出費を覚悟する必要があります。さらに、ランフラットタイヤの交換作業には、専用のタイヤチェンジャーと高い技術が求められるため、作業を依頼できる店舗が限られたり、工賃が割高になったりするケースもあります。

もちろん、ランフラットタイヤがもたらす「パンク時の安心感」は、特に高速道路での走行中や、夜間のトラブル時には、何物にも代えがたいメリットです。しかし、そのメリットと、日常的な乗り心地の硬さや交換費用の高さを天秤にかけた時に、「自分にとってはデメリットの方が大きい」と感じるのであれば、それは後悔の原因となり得ます。

一部のオーナーは、乗り心地の改善やコスト削減のために、保証の問題などを考慮した上で、自己責任において通常のタイヤ（ラジアルタイヤ）に交換しているケースもあるようです。グランツアラーを選ぶ際には、このランフラットタイヤの特性を十分に理解し、自分の許容範囲かどうかを試乗などで確認しておくことが、購入後の満足度を高めるために非常に重要です。

意外とかかる維持費！特にディーゼルモデルの注意点と故障リスク

BMW 2シリーズ グランツアラーは、プレミアムブランドの輸入車です。そのため、購入後の維持費については、国産の同クラスミニバンと比較すると、やはり高額になる傾向があることを覚悟しておく必要があります。この「思ったより維持費がかかる」という点が、後悔に繋がる可能性があります。

まず、定期的なメンテナンス費用です。エンジンオイルやフィルター、ブレーキパッドといった消耗品の価格は、国産車よりも高めに設定されています。また、ディーラーでの点検整備費用（工賃）も、輸入車特有の価格帯となります。2年に一度の車検費用は、何も交換部品がなくても15万円から20万円程度、タイヤやブレーキの交換が重なると、30万円を超えることも珍しくありません。

特に、燃費の良さから人気のディーゼルエンジンモデル（218dなど）には、特有の注意点があります。ディーゼルエンジンには、排出ガスをクリーンにするための「DPF（ディーゼル微粒子捕集フィルター）」が装着されていますが、このDPFが煤（すす）で詰まってしまうと、警告灯が点灯し、最悪の場合は交換が必要になります。DPFの交換費用は非常に高額（数十万円）です。これを防ぐためには、定期的に高速道路を走行してDPFを再生させたり、質の良い燃料を使用したりといった配慮が必要です。また、一部のモデルでは「アドブルー（尿素水）」の補充も必要になります。

さらに、年式が古くなってくると、各種センサー類や、パワーウィンドウ、エアコンといった電気系統の故障リスクも考慮しなければなりません。これらの修理も、部品代が高く、修理費用がかさむ原因となります。BMWの故障事例については、専門の情報サイトなどで確認してみるのも良いでしょう。

もちろん、グランツアラーが特別壊れやすいというわけではありません。しかし、国産車と同じ感覚で維持できると考えていると、その費用の高さに驚き、後悔する可能性があります。購入前には、年間の維持費（税金、保険、燃料代、メンテナンス費用、そして万が一の修理費用積立など）を具体的にシミュレーションし、自分の経済状況で無理なく維持できるかどうかを、冷静に判断することが非常に重要です。BMWの維持費が高いと言われる理由については、こちらの記事も参考になるかもしれません。

国産ミニバンと比較してどう？スライドドアがないことの不便さ

BMW 2シリーズ グランツアラーは、3列シート7人乗りという点で、国産のMクラスミニバン（例：トヨタ・ヴォクシー、日産・セレナ、ホンダ・ステップワゴンなど）と比較されることがよくあります。しかし、その使い勝手という点では、特に「ドアの構造」において、大きな違いがあり、これが後悔のポイントとなることがあります。

国産ミニバンの多くが、後部座席のドアに「スライドドア」を採用しているのに対し、グランツアラーは、一般的な乗用車と同じ「ヒンジ式のドア」を採用しています。この違いは、特に小さな子供を持つファミリーにとっては、日常の使い勝手に大きな影響を与えます。

例えば、狭い駐車場で子供をチャイルドシートに乗せ降ろしする際、スライドドアであれば、ドアを全開にしなくてもスムーズに行えますし、隣のクルマにドアをぶつけてしまう心配もありません。しかし、ヒンジ式のドアの場合、ドアをある程度大きく開けないと、子供の乗り降りがしにくく、常に隣のクルマへの接触を気にしなければなりません。雨の日や、風の強い日などは、特にストレスを感じるでしょう。

以下はグランツアラーと国産ミニバンのドア構造と使い勝手の比較です。

また、大きな荷物を積み下ろしする際も、スライドドアの方が開口部が広く、作業がしやすいというメリットがあります。グランツアラーのラゲッジスペース自体は、3列目を格納すれば十分に広いのですが、そこに至るまでのアクセスという点で、国産ミニバンに軍配が上がります。

もちろん、グランツアラーには、BMWならではの走行性能や、ブランドイメージ、そして洗練されたデザインといった、国産ミニバンにはない魅力があります。しかし、日常の使い勝手や、ファミリーカーとしての利便性を最優先に考えるのであれば、スライドドアがないという点は、購入後に大きな不満として残るかもしれません。何を重視し、何を割り切るのか。この選択が、グランツアラーで後悔しないための、重要な分かれ道となるのです。

中古車選びの難しさ！年式・走行距離と価格、そして保証のバランス

BMW 2シリーズ グランツアラーは、新車で購入すると、オプションなどを含めると500万円を超えることもある、比較的高価なモデルです。そのため、より手頃な価格で手に入れられる「中古車」も、非常に魅力的な選択肢となります。しかし、輸入車の中古車選びは、国産車以上に慎重さが求められ、ここで選択を誤ると、大きな後悔に繋がる可能性があります。

グランツアラーの中古車価格は、年式、走行距離、グレード、装備、そして内外装のコンディションによって、まさにピンからキリまで存在します。例えば、初期の年式で走行距離が10万km近いものであれば、100万円台で見つかることもありますが、高年式で低走行、人気のMスポーツパッケージやレザーシート、サンルーフといったオプションが多数装備された車両であれば、300万円を超えることも珍しくありません。

ここで重要なのが、「価格の安さ」だけに飛びつかないことです。特に輸入車の場合、走行距離が伸びていたり、年式が古くなっていたりすると、前述したような故障のリスクが高まります。購入時の価格は安くても、その後の修理費用で結局高くついてしまった、ということになりかねません。必ず、車両の状態を隅々までチェックし、修復歴の有無や、整備記録簿の内容を確認することが不可欠です。信頼できる第三者機関の鑑定書が付いている車両であれば、より安心でしょう。

そして、中古車選びで最も重要なポイントの一つが、「保証の有無とその内容」です。BMW正規ディーラーが販売する「認定中古車（BMW Premium Selection）」であれば、最大2年間、走行距離無制限の保証が付帯し、新車に近い安心感を得ることができます。価格は一般的な中古車よりも高めになりますが、その価値は十分にあります。もし、ディーラー以外の販売店で購入する場合でも、最低でも半年から1年程度の、しっかりとした内容の保証が付いている車両を選ぶべきです。保証がない「現状販売」の車両は、たとえ安くても避けるのが賢明です。

グランツアラーの中古車は、上手に選べば、非常にお買い得な一台となる可能性を秘めています。しかし、そのためには、価格と品質、そして保証のバランスを慎重に見極める「目利き」が必要です。焦らずに、複数の車両を比較検討し、納得のいく一台を見つけることが、後悔しない中古グランツアラー選びの秘訣です。

後悔しない！グランツアラーの真価と賢いオーナーになる方法

3列目はあくまで緊急用！割り切れば見える積載性の高さと利便性

BMW 2シリーズ グランツアラーの3列目シートが「狭くて使えない」という後悔の声があることは、すでに述べたとおりです。しかし、この3列目に対する考え方を少し変え、「普段は使わないエマージェンシーシート」と割り切ってしまえば、グランツアラーは全く別の顔を見せてくれます。それは、驚くほどの実用性と積載性を秘めた、非常に使い勝手の良い5シーターワゴンとしての姿です。

グランツアラーの3列目シートは、フロア下に完全にフラットに格納することができます。この状態でのラゲッジスペース容量は、560Lとクラストップレベル。これだけの広さがあれば、家族4人での数泊の旅行の荷物や、大きなスーツケース、さらにはゴルフバッグなどを、余裕で積み込むことができます。開口部も広く、床面も低いため、重い荷物の出し入れも比較的楽に行えます。

さらに、2列目シートも40:20:40の分割可倒式となっており、乗車人数や荷物の形に合わせて、多彩なシートアレンジが可能です。例えば、2列目の真ん中だけを倒せば、4人乗車しながらスキー板のような長尺物を積むこともできますし、2列目全てを倒せば、最大で1820Lという、まるで小型バンのような広大な空間が出現します。これなら、大きな家具や自転車なども、問題なく運ぶことができるでしょう。

つまり、グランツアラーは、「7人乗り」という言葉の響きに囚われず、「必要な時だけ7人乗れる、非常に荷物が積める5人乗り」と捉えることで、その真価が見えてくるのです。日常は夫婦2人か、子供1〜2人の家族でゆったりと使い、たまに祖父母を乗せたり、友人の子供を預かったりする際には、サッと3列目シートを展開する。そんな柔軟な使い方ができるのが、グランツアラーの大きな魅力です。

国産の本格的な3列シートミニバンほどの絶対的な広さはありませんが、BMWらしいスタイリッシュなデザインと走りを持ちながら、いざという時には多人数乗車もこなせる。この「割り切り」と「柔軟性」こそが、グランツアラーを賢く使いこなすための鍵であり、後悔を避けるための最も重要な考え方なのです。

FFでもBMWらしいキビキビとした走り！軽快なハンドリングとディーゼルの魅力

「BMWなのにFF（前輪駆動）だから、走りが期待できないのでは…」そんな不安を抱いている方にこそ、ぜひ一度グランツアラーのステアリングを握ってみてほしいと思います。確かに、伝統的なFR（後輪駆動）のBMWとは異なる駆動方式ですが、そこには紛れもなく「駆け抜ける歓び」を感じさせる、BMWならではのDNAが息づいています。

グランツアラーの走りの魅力は、まずその軽快なハンドリングにあります。ステアリングを切った瞬間に、ドライバーの意図した通りにスッとクルマが向きを変える、その応答性の高さは、さすがBMWと言えるものです。背の高いMPVでありながら、コーナーリング時のロール（車体の傾き）も巧みに抑えられており、まるでハッチバックを運転しているかのような、軽快でキビキビとした走りを楽しむことができます。この運転の楽しさは、多くの国産ミニバンではなかなか味わえない、グランツアラーならではの美点です。

そして、その走りをさらに魅力的なものにしているのが、パワフルなエンジンラインナップです。特に人気の高い2.0L 4気筒クリーンディーゼルターボエンジン（218d）は、低回転域から分厚いトルクを発生し、アクセルを少し踏み込むだけで、1.6トン近い車体を力強く加速させます。坂道や高速道路の合流などでも、ストレスを感じることなく、余裕のある走りを提供してくれます。このディーゼルエンジンのたくましさは、一度味わうと病みつきになるほどの魅力があります。

もちろん、1.5L 3気筒ガソリンターボエンジン（218i）も、日常域では十分なパフォーマンスを発揮し、軽快な吹け上がりが楽しめます。どちらのエンジンも、組み合わされるステップトロニック（オートマチックトランスミッション）との相性も良く、スムーズでリズミカルな変速を実現しています。

確かに、サーキットで限界走行をするようなクルマではありません。しかし、家族を乗せて日常の道を走る上で、「気持ちが良い」と感じられるスポーティさと、「安心できる」安定感を、極めて高い次元でバランスさせている。それが、グランツアラーの走りの本質です。FFであることを理由に敬遠してしまうのは、あまりにもったいない。ぜひ、その真価を体感してみてください。

実用性とデザインを高次元で両立！BMWならではのプレミアムコンパクトMPV

BMW 2シリーズ グランツアラーが、多くのファミリー層、特に「走りも諦めたくないお父さん」から支持される最大の理由は、MPVとしての高い実用性と、BMWならではのスポーティで洗練されたデザインを、見事に両立させている点にあります。世の中に3列シート車は数多くあれど、ここまで運転が楽しく、かつスタイリッシュなモデルは、そうそう見当たりません。

エクステリアデザインは、紛れもなくBMWのそれです。キドニーグリルや、シャープなヘッドライト、そして躍動感のあるボディラインは、MPVでありながら、どこかアスリートのような引き締まった印象を与えます。特に、オプションのMスポーツパッケージを装着すれば、専用のエアロパーツや大径ホイールによって、そのスポーティさはさらに際立ちます。「いかにもミニバン」という生活感をあまり出したくない、お洒落なファミリーにとって、このデザインは大きな魅力となるでしょう。

インテリアも、BMWらしく機能的でドライバーオリエンテッドな空間が広がります。質感の高い素材が適材適所に使われ、スイッチ類の配置も人間工学に基づいて設計されているため、直感的に操作することができます。決して華美ではありませんが、質実剛健で飽きのこないデザインは、長く付き合える安心感があります。

そして、その根底に流れているのは、やはりBMWの「駆け抜ける歓び」という哲学です。たとえ家族を乗せるMPVであっても、ステアリングを握るドライバー自身が、運転する楽しさを感じられなければ意味がない。そんなBMWの強い意志が、グランツアラーの随所から感じ取れます。実用性のために、走りの楽しさやデザインの美しさを犠牲にしない。この絶妙なバランス感覚こそが、グランツアラーを唯一無二の存在にしているのです。

家族のためのクルマ選びは、どうしても実用性や経済性が優先されがちで、自分の「好き」という気持ちを抑えなければならない場面も多いものです。しかし、グランツアラーは、「家族も大切だけど、自分の運転する楽しみも諦めたくない」という、そんな欲張りな願いを叶えてくれる、数少ない選択肢の一つです。このクルマを選べば、きっと家族みんなが笑顔になれる、そんなカーライフが待っているはずです。

燃費は本当に優秀？ディーゼルモデルの経済性と選び方のポイント

BMW 2シリーズ グランツアラーの維持費を考える上で、非常に重要な要素となるのが「燃費性能」です。特に、ラインナップの中心となっている2.0Lクリーンディーゼルターボエンジンを搭載した「218d」は、その優れた燃費性能と経済性で、多くのユーザーから高い評価を得ています。しかし、その実力は本当なのでしょうか。そして、ガソリンモデルと比較して、どちらを選ぶのが賢明なのでしょうか。

まず、218dのカタログ燃費（WLTCモード）は、18.0km/L前後と、このクラスの7人乗りMPVとしては、トップクラスの数値を誇ります。実燃費についても、オーナーの口コミなどを見ると、市街地でも12～15km/L、高速道路では20km/L近くまで伸びるという報告が多く、その燃費性能の高さは本物と言えるでしょう。これに加えて、燃料である軽油の価格が、ガソリン（ハイオク）よりもリッターあたり20円以上安いというメリットも大きいです。年間の走行距離が多いユーザーほど、この燃料代の差は、維持費の削減に大きく貢献します。

しかし、良いことばかりではありません。ディーゼルモデルを選ぶ際には、いくつかの注意点があります。まず、車両本体価格が、同程度の装備のガソリンモデル（218i）と比較して、数十万円高くなるのが一般的です。この価格差を、燃料代の差額で回収するには、かなりの走行距離が必要になります。自分の年間走行距離を考慮し、本当にディーゼルモデルの方が経済的なのかを、シミュレーションしてみる必要があります。

また、前述したように、ディーゼルエンジン特有のメンテナンス（DPFの再生やアドブルーの補充など）が必要になることや、ガソリンエンジンに比べて、エンジン音がやや大きく、振動も感じやすいといったデメリットも存在します。静粛性や滑らかな回転フィールを重視するなら、ガソリンモデルの方が満足度は高いかもしれません。

結局のところ、ディーゼルとガソリン、どちらが良いかは、その人のライフスタイルや価値観によって異なります。年間走行距離が多く、燃料代を少しでも抑えたい、そしてディーゼル特有のトルクフルな走りが好き、という方には218dがおすすめです。一方、年間走行距離がそれほど多くなく、初期費用を抑えたい、そして静かでスムーズな走りを求めるなら、218iが良い選択となるでしょう。それぞれのメリット・デメリットを理解し、後悔のないエンジン選びをしてください。

故障を避けるメンテナンス術と信頼できる整備工場の選び方とは

BMW 2シリーズ グランツアラーと長く、そして安心して付き合っていくためには、日頃からの適切なメンテナンスが不可欠です。輸入車であるBMWは、国産車と同じような感覚でノーメンテナンスというわけにはいきません。ここでは、故障を未然に防ぐためのメンテナンス術と、いざという時に頼りになる整備工場の選び方について解説します。

まず、最も基本となるのが、BMWが指定するサイクルでの定期点検と、消耗品の交換です。特に、エンジンオイルやオイルフィルター、エアフィルター、ブレーキフルードといった油脂類やフィルター類は、定期的に交換することで、エンジンやブレーキシステムの性能を維持し、大きな故障を予防することができます。これらのメンテナンス記録は、車両売却時の査定額にも影響するため、必ず記録簿に残しておくようにしましょう。

ディーラーでの点検は、費用こそ高めですが、BMW専用の診断機を使った詳細なチェックや、メーカーの最新情報に基づいた整備を受けられるという安心感があります。特に、新車保証期間中や、複雑な電子制御システムに不安がある場合は、ディーラーに任せるのが賢明です。しかし、保証が切れた後や、少しでも費用を抑えたい場合は、BMWの整備を得意とする民間の専門工場を探すという選択肢もあります。

信頼できる専門工場を見つけるポイントは、まず「BMWの整備実績が豊富であること」です。ホームページや口コミなどで、過去にどのようなBMW車を扱ってきたかを確認しましょう。また、BMW専用の診断機（ISTAなど）を導入しているかどうかも重要なチェックポイントです。これらの設備がないと、正確な故障診断やコーディング（車両設定の変更）ができない場合があります。そして何よりも、メカニックが親身に相談に乗ってくれ、整備内容や費用について、分かりやすく説明してくれる工場を選ぶことが大切です。複数の工場から見積もりを取り、比較検討するのも良いでしょう。

また、日常的なオーナー自身によるチェックも重要です。タイヤの空気圧や溝の残量、エンジンオイルの量や汚れ、冷却水の量などを、定期的に確認する習慣をつけましょう。そして、運転中にいつもと違う音や振動、警告灯の点灯など、何らかの異常を感じたら、早めに専門家に見てもらうことが、大きな故障を防ぐための鉄則です。愛情を持ってメンテナンスをすれば、グランツアラーはきっとあなたの期待に応え、長く駆け抜ける歓びを提供してくれるはずです。

BMWグランツアラーに関するFAQ（よくある質問）

ここでは、BMW 2シリーズ グランツアラーに関して、購入検討者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. グランツアラー（7人乗り）と、アクティブツアラー（5人乗り）の主な違いは何ですか？

A1. 最大の違いは、乗車定員とボディサイズです。グランツアラーは3列目シートを備えた7人乗りで、全長が約21cm、ホイールベースが約11cm、アクティブツアラーよりも長くなっています。その分、3列目シートのスペースと、3列目を格納した際のラゲッジスペースが拡大されています。一方、アクティブツアラーは、よりコンパクトで軽快な走りが楽しめ、価格もグランツアラーより安価に設定されています。基本的なデザインや搭載されるエンジンラインナップは共通ですが、家族構成や使い方によって、どちらを選ぶべきかが変わってきます。

Q2. ディーゼルモデル（218d）のDPF再生は、どのように行われるのですか？また、何か気をつけることはありますか？

A2. DPF（ディーゼル微粒子捕集フィルター）に溜まった煤（すす）は、ある程度の高温で燃焼させることで除去（再生）されます。通常は、高速道路などを一定時間（例：20～30分程度）走行することで、排気温度が上がり、自動的に再生が行われます。しかし、市街地での短距離走行ばかりを繰り返していると、DPFが十分に再生されず、警告灯が点灯したり、エンジン不調の原因になったりすることがあります。ディーゼル車オーナーは、月に1～2回程度、意識的に高速道路などを走行し、DPFを再生させてあげることが推奨されます。また、DPFの寿命を縮めないために、質の悪い燃料の使用は避けるようにしましょう。

Q3. グランツアラーを中古車で購入する場合、おすすめの年式やグレード、注意すべきポイントはありますか？

A3. 中古車の場合、予算とのバランスが重要になります。比較的新しいものであれば、2018年以降の後期モデル（LCIモデル）がおすすめです。内外装デザインがリフレッシュされ、装備も充実しています。グレードは、スポーティな内外装と装備が魅力の「Mスポーツ」が人気ですが、価格も高めです。ディーゼル（218d）かガソリン（218i）かは、年間走行距離や好みで選ぶと良いでしょう。注意すべきは、やはり整備記録です。オイル交換などの基本的なメンテナンスが、きちんと行われてきたかを確認することが重要です。また、ランフラットタイヤの状態や、可能であればDPFの状態（ディーゼル車の場合）もチェックしたいところです。信頼できる販売店で、保証付きの車両を選ぶのが最も安心です。

【まとめ】グランツアラーで後悔しない！こんな人におすすめの1台