なぜBMW i3の中古車は驚くほど安いのか その理由を徹底解説

未来的なデザインと環境性能で注目を集めたBMW i3。新車価格は比較的高価でしたが、中古車市場に目を向けると、驚くほど手頃な価格で流通している個体が多く見られます。なぜBMW i3の中古車はこんなにも安いのでしょうか？

この記事では、その背景にある複数の理由を、技術的な側面、市場の動向、そしてユーザーの視点から深掘りしていきます。電気自動車（EV）ならではの特性や、BMWというブランドイメージ、さらには生産終了という事実がどのように中古車価格に影響を与えているのか、詳しく見ていきましょう。

中古のBMW i3を検討している方にとって、価格の安さは大きな魅力です。しかし、同時に「何か理由があるのでは？」と不安に感じるかもしれません。バッテリーの劣化具合や航続距離、維持費、特にレンジエクステンダー搭載モデルの注意点など、購入前に知っておくべきポイントは少なくありません。

BMW i3中古車が安い主な理由を深掘り

バッテリー劣化と航続距離への不安が価格を下げる要因

BMW i3の中古車価格が安い大きな理由の一つとして、電気自動車（EV）の核心部品であるバッテリーの劣化と、それに伴う航続距離への不安が挙げられます。EVのバッテリーはスマートフォンなどと同じように、充放電を繰り返すことで徐々に性能が低下していきます。特に発売から年月が経過している初期モデルのi3では、新車時と比較してバッテリー容量が減少し、満充電で走行できる距離、すなわち航続距離が短くなっている可能性があります。ユーザーにとって航続距離はEVを選ぶ上で非常に重要な要素であり、この点が中古車としての価値を下げる一因となっているのです。

さらに、BMW i3の初期モデルは、現在の最新EVと比較すると元々の航続距離が短いという側面もあります。技術は日々進化しており、新しいEVモデルはより大容量のバッテリーを搭載し、長距離走行が可能になっています。そのため、中古市場において初期のi3は、航続距離の面で見劣りしてしまいがちです。日常的な短距離移動がメインであれば問題ないかもしれませんが、長距離ドライブを頻繁に行うユーザーにとっては、この点が購入をためらう理由になることがあります。

そして、最も懸念されるのがバッテリー交換にかかる費用です。EVのバッテリーは非常に高価な部品であり、もし交換が必要になった場合、数十万円から、場合によっては百万円以上の費用がかかる可能性もゼロではありません。中古車として購入する際には、バッテリーの健康状態（SOH: State of Health）を確認することが推奨されますが、正確な状態を把握することが難しい場合もあり、将来的な交換リスクが価格に反映されていると考えられます。ディーラーでの診断や保証の有無などをしっかりチェックすることが重要です。このようなバッテリーに関する懸念が、BMW i3の中古車価格を押し下げる大きな要因となっているのです。特に保証が切れている車両や、走行距離が多い車両は、価格が安くなる傾向にあります。

レンジエクステンダー搭載モデル特有の事情と維持コスト

BMW i3には、バッテリー残量が少なくなると発電用小型エンジンが作動し、航続距離を伸ばす「レンジエクステンダー」搭載モデルが存在します。これは、電気自動車（EV）の航続距離に対する不安を和らげるための画期的な技術でしたが、中古車市場においては価格形成に複雑な影響を与えています。一見すると航続距離の心配が減るため価値が高そうに思えますが、実際にはいくつかの特有の事情と維持コストが、価格を抑える要因にもなっているのです。

まず、レンジエクステンダーは小型とはいえガソリンエンジンを搭載しているため、純粋なEVとしてのメリットが一部失われます。エンジンオイル交換などの定期的なメンテナンスが必要になり、自動車税も純粋なEVより高くなる場合があります。また、エンジンや発電機といった部品が増えることで、故障のリスクも高まります。これらの維持コストや潜在的なリスクが、中古車としての評価、ひいては価格に影響を与えていると考えられます。特に、エンジンの整備や修理には専門的な知識や設備が必要となる場合があり、ディーラー以外での対応が難しいケースも考えられます。

さらに、レンジエクステンダーのエンジンはあくまでも「発電用」であり、直接タイヤを駆動するわけではありません。そのため、作動時のフィーリングや音、振動などが、純粋なEVのスムーズさや静粛性を好むユーザーにとってはマイナス要素と捉えられることもあります。都市部での短距離利用がメインであれば、レンジエクステンダーの恩恵を受ける機会は少なく、むしろ維持の手間やコストがデメリットと感じられるかもしれません。これらの理由から、レンジエクステンダー搭載モデルは、純粋なEVモデルと比較して、必ずしも中古車価格が高いとは限らず、むしろ割安感が出ているケースも見られます。購入を検討する際は、自身の利用状況や維持に対する考え方を踏まえて、慎重に選択する必要があります。モデルによっては、レンジエクステンダー非搭載モデルの方が人気が高い場合もあります。

生産終了と後継モデル不在がもたらす市場への影響

BMW i3は、その先進的なコンセプトとデザインで注目を集めましたが、2022年に惜しまれつつ生産を終了しました。この生産終了という事実は、中古車市場におけるi3の価格形成に少なاتھらぬ影響を与えています。一般的に、自動車は生産が終了すると、部品供給やアフターサポートに対する将来的な不安感から、中古車価格が下落する傾向にあります。i3も例外ではなく、この点が価格の安さの一因となっていると考えられます。

さらに重要なのは、BMW i3には直接的な後継モデルが存在しないという点です。BMWはその後、iXシリーズやi4など、他のEVモデルを投入していますが、i3のようなコンパクトでユニークなコンセプトを受け継ぐモデルは登場していません。後継モデルがないということは、i3が持つ独自の技術やデザインが一代限りで終わってしまう可能性を示唆します。これは、長期的な視点で見た場合に、部品の入手が困難になったり、修理に対応できる整備工場が限られたりするリスクを想起させ、中古車としての価値を相対的に押し下げる要因となり得ます。

もちろん、BMWという大手自動車メーカーである以上、生産終了後も一定期間は部品供給やサポート体制が維持されると考えられます。しかし、ユーザー心理としては、現行モデルや後継モデルが存在する車種と比較すると、どうしても将来的な不安を感じてしまうものです。特に、i3はカーボンファイバー強化樹脂（CFRP）製のボディ骨格など、特殊な素材や構造を採用しているため、万が一の際の修理費用が高額になるのではないか、という懸念もつきまといます。このような生産終了と後継モデル不在という状況が、中古のBMW i3を検討するユーザーの不安を煽り、結果として市場価格を抑える方向に作用していると言えるでしょう。市場での流通量が今後増えることはなく、希少性が高まる可能性もありますが、現時点では価格下落の要因として働いている面が強いです。

初期モデルの技術的な限界と進化による相対的な評価

BMW i3は2013年に登場した、比較的初期の電気自動車（EV）です。そのため、特に初期モデルにおいては、現在の最新EVと比較すると技術的な限界が見られる点が、中古車価格の安さに繋がっています。最も顕著なのは、やはりバッテリー技術です。初期のi3に搭載されていたバッテリー容量は比較的小さく、カタログ上の航続距離も現在の基準で見ると短いものでした。実用上の航続距離はさらに短くなるため、ユーザーによっては使い勝手に制約を感じることがあります。

バッテリー技術の進化は目覚ましく、i3もモデルライフの途中でバッテリー容量を増大させた改良モデルが登場しました。しかし、中古車市場には初期の小容量バッテリー搭載モデルも多く流通しており、これらのモデルは航続距離の短さから敬遠されがちで、価格が安くなる傾向にあります。また、充電技術についても、初期モデルは急速充電の規格や速度が現在の主流と比較して古い場合があります。これにより、充電にかかる時間が長くなったり、利用できる充電ステーションが限られたりする可能性があり、利便性の面でマイナス評価となることがあります。

さらに、車内のインフォテインメントシステムや運転支援システムの面でも、初期モデルは現在の基準から見ると古さを感じさせる部分があります。ナビゲーションシステムの使い勝手や画面の解像度、連携できるスマートフォンの機能などに差があり、最新のデジタル体験に慣れたユーザーにとっては物足りなさを感じるかもしれません。これらの技術的な側面における相対的な評価の低さが、特に年式の古いBMW i3の中古車価格を押し下げる要因となっています。技術の進化に取り残されている部分があることを理解した上で、価格とのバランスを考える必要があります。

独特なデザインと素材が一部ユーザーに敬遠される可能性

BMW i3は、そのデザインにおいても非常に個性的で革新的なクルマです。未来的なエクステリア、観音開きのコーチドア、リサイクル素材を多用したユニークな内装など、他のどのクルマにも似ていない独特の雰囲気を持っています。このデザインは、i3の大きな魅力の一つであると同時に、中古車価格が安くなる一因にもなっています。なぜなら、その強い個性ゆえに、好みがはっきりと分かれ、一部のユーザーからは敬遠される可能性があるからです。

特に、観音開きのドア（リアドアが前ヒンジではなく後ろヒンジで、センターピラーがない構造）は、デザイン的なインパクトは大きいものの、実用面では注意が必要です。後席の乗り降りをする際には、まず前席のドアを開ける必要があり、狭い駐車スペースなどでは使いづらさを感じる場面があるかもしれません。このような日常的な使い勝手に関する部分が、購入をためらわせる要因となることがあります。また、先進的ではあるものの、やや奇抜とも言える内外装のデザインは、一般的なBMWのスポーティでコンサバティブなイメージを期待するユーザーにとっては、受け入れがたいと感じられるかもしれません。

さらに、i3はボディ骨格にカーボンファイバー強化樹脂（CFRP）を、内装にはケナフなどの天然素材やリサイクル素材を積極的に採用しています。これらは軽量化や環境性能向上に貢献する先進的な取り組みですが、従来の自動車とは異なる素材感や質感が、一部のユーザーにとってはチープに感じられたり、馴染めなかったりする可能性があります。また、CFRPは修理が難しい、あるいは高額になるというイメージも持たれがちです（実際には修理可能な場合も多いですが）。このように、i3のデザインや採用されている素材の特殊性が、ターゲットとなるユーザー層を限定してしまい、結果的に中古車市場での需要と供給のバランスに影響を与え、価格を押し下げる方向に働いていると考えられます。

EV普及初期のモデルであることによる市場での位置づけ

BMW i3が登場した2010年代前半は、電気自動車（EV）がまだ一般的に普及し始めたばかりの時期でした。i3は、日産リーフなどと共に、本格的な量産EVの先駆けとも言える存在です。このようにEV普及の初期に登場したモデルであるという事実も、現在の中古車価格の安さに影響を与えています。当時は、EVという新しい技術に対する期待感があった一方で、バッテリーの寿命や航続距離、充電インフラの整備状況など、未知数な部分に対する漠然とした不安感も強くありました。

そのため、新車販売時から「様子見」と考えるユーザーも少なくなく、それが中古車市場にも影響を及ぼしています。初期のEVに対して「まだ技術が成熟していないのでは」「すぐに新しい、もっと性能の良いモデルが出るのでは」といった見方が、中古車としての評価を相対的に低くしている側面があります。実際、その後EV技術は急速に進歩し、バッテリー性能や充電速度、運転支援システムなどは飛躍的に向上しました。これにより、i3、特に初期モデルは、最新のEVと比較すると性能面で見劣りする部分が目立つようになり、中古車市場での価格競争力が低下しているのです。

また、EV普及初期には、充電インフラも現在ほど整備されていませんでした。自宅に充電設備を設置できないユーザーや、外出先での充電に不安を感じるユーザーにとっては、EVの所有はハードルが高いものでした。このようなEVを取り巻く環境全体が未成熟だった時代のモデルであることが、中古車としての需要を限定的にし、価格を抑える要因となっています。現在では充電インフラもかなり充実してきましたが、初期モデルの性能的な制約と相まって、「一昔前のEV」というイメージが、中古のBMW i3の価格に反映されていると言えるでしょう。市場におけるポジショニングとして、最新EVとガソリン車の中間に位置するような、やや中途半端な存在と見られている可能性もあります。

新車価格からの大きな値下がり率とその背景

BMW i3の中古車が安いと感じられる大きな理由の一つに、新車価格からの値下がり率が大きいことが挙げられます。i3は、先進的な技術やカーボンファイバーといった高価な素材を使用していたこともあり、新車時の車両本体価格は決して安くはありませんでした。コンパクトカーのセグメントに属しながらも、その価格帯はミドルクラスのセダンやSUVに匹敵するレベルでした。この比較的高価な新車価格設定が、結果的に中古車になった際の大きな値下がり幅を生み出しています。

一般的に、輸入車は国産車と比較して中古車になった際の値下がり率が大きい傾向にあります。これには、為替レートの変動リスク、部品代や整備費用の高さ、ブランドイメージの変化など、様々な要因が絡んでいます。BMW i3もこの例に漏れず、輸入車としての特性が値下がりに影響しています。さらに、電気自動車（EV）という比較的新しいカテゴリーの車種は、技術革新のスピードが速いため、旧モデルの価値が下がりやすいという側面も持っています。新しいバッテリー技術やより効率的なモーターが登場すると、既存モデルの魅力は相対的に低下し、中古車価格に反映されます。

また、自動車市場全体のトレンドとして、モデルチェンジが行われると旧モデルの価格は下落する傾向にあります。i3の場合、直接的な後継モデルはありませんが、BMW内でEVのラインナップが増え、iXやi4といった新しいEVが登場したことで、i3の市場における相対的な位置づけが変化し、価格に影響を与えている可能性も考えられます。新車時の価格が高かった分、数年経過した中古車になると、その下落幅が大きく感じられ、「安い」という印象につながるのです。この大きな値下がり率は、購入者にとっては魅力的なポイントですが、同時に将来的なリセールバリュー（再販価値）も低い可能性があることを示唆しています。購入時には、車両の状態だけでなく、将来的な価値の下落も考慮に入れる必要があるかもしれません。

中古のBMW i3を選ぶ際の注意点とチェックポイント

バッテリーの健康状態（SOH）の確認方法と重要性

中古のBMW i3を検討する上で、最も重要と言っても過言ではないのが、駆動用バッテリーの健康状態、いわゆるSOH（State of Health）の確認です。SOHは、新品時のバッテリー容量に対して、現在のバッテリーがどの程度の容量を維持しているかを示すパーセンテージで表されます。これが低いということは、バッテリーが劣化しており、満充電しても走行できる距離が短くなっていることを意味します。EVの心臓部であるバッテリーの状態は、そのクルマの価値と実用性に直結するため、必ずチェックしたいポイントです。

しかし、SOHを正確に知ることは簡単ではありません。一般的な中古車販売店では、専用の診断機器を持っていない場合が多く、メーターパネルに表示される情報だけでは判断が難しいことがあります。最も確実な方法は、BMW正規ディーラーで点検記録を確認したり、購入前に診断を依頼したりすることです。一部のEV専門中古車店などでは、独自のツールでSOHを計測し、情報を提供している場合もあります。販売店にSOHの具体的な数値や、測定履歴の有無について積極的に質問することが重要です。

SOHの目安としては、一般的に80%を下回ってくると劣化が進んでいると判断されることが多いですが、年式や走行距離によって許容範囲は異なります。もしSOHが低い車両を選んでしまうと、期待していた航続距離が得られないだけでなく、将来的に高額なバッテリー交換費用が発生するリスクも高まります。BMWではバッテリーに対して新車から一定期間・距離の保証が付いていますが、中古車の場合は保証が切れている、あるいは保証継承の手続きが必要な場合があります。保証の有無や残り期間、保証条件もしっかり確認しましょう。価格の安さだけで飛びつかず、バッテリーの状態を慎重に見極めることが、後悔しない中古i3選びの鍵となります。

レンジエクステンダー搭載モデルのエンジン状態チェック

BMW i3のレンジエクステンダー搭載モデルを選ぶ際には、バッテリーの状態に加えて、発電用エンジンの状態もしっかりとチェックする必要があります。このエンジンは、バッテリー残量が少なくなった際に発電を行い、航続距離を延長するためのものですが、ガソリンエンジンである以上、定期的なメンテナンスや経年による劣化は避けられません。中古車として購入する場合、このエンジンのコンディションが良好かどうかが、後の維持費やトラブル発生のリスクに大きく関わってきます。

チェックすべきポイントとしては、まずエンジンオイルの状態が挙げられます。オイルが汚れていたり、量が不足していたりしないかを確認しましょう。エンジン始動時や作動中に異音や過大な振動がないかも重要なチェック項目です。レンジエクステンダーのエンジンは比較的小型でシンプルな構造ですが、それでもピストンやバルブなどの機械部品で構成されているため、不具合が発生する可能性はあります。可能であれば、試乗中にバッテリー残量を減らし、実際にレンジエクステンダーが作動する状況を確認できるのが理想です。スムーズにエンジンが始動し、安定して発電を行っているかを確認しましょう。

また、レンジエクステンダーに関連するメンテナンス履歴が残っているかも確認したいポイントです。定期的にオイル交換などのメンテナンスが行われてきた車両であれば、比較的安心して乗ることができるでしょう。逆に、メンテナンス記録が不明瞭な場合や、エンジン周りにオイル漏れの痕跡などが見られる場合は注意が必要です。レンジエクステンダーの修理は、通常のエンジン修理とは異なる知識や部品が必要になる場合があり、ディーラー以外では対応が難しいケースも考えられます。エンジン部分の不具合は、EVとしての走行性能には直接影響しないものの、いざという時の航続距離延長ができなくなるため、そのメリットが失われてしまいます。購入前に販売店にエンジンの状態について詳しく質問し、必要であれば専門家による点検を検討することも有効です。

年式と走行距離が価格と状態に与える影響

中古車選びの基本として、年式と走行距離は価格と車両の状態を判断する上で非常に重要な要素です。これはBMW i3においても同様で、一般的に年式が新しく、走行距離が少ない個体ほど価格は高くなる傾向にあります。年式が新しいということは、それだけ設計が新しく、搭載されている技術や装備も進化している可能性が高いことを意味します。i3の場合、モデルライフの途中でバッテリー容量が増強されたり、インフォテインメントシステムがアップデートされたりといった改良が行われているため、年式によって性能や機能に差があります。

走行距離は、クルマがどれだけ使われてきたかを示す直接的な指標であり、バッテリーの劣化具合を推測する上での一つの目安となります。走行距離が多いほど、充放電サイクルが多くなり、バッテリーの劣化が進んでいる可能性が高まります。ただし、走行距離だけでなく、充電方法や使用状況（頻繁な急速充電など）もバッテリーの寿命に影響するため、走行距離だけで一概に判断することはできません。しかし、走行距離はバッテリーだけでなく、モーターやサスペンション、ブレーキ、内装など、車両全体の消耗度合いを示す指標としても重要です。走行距離が多い車両は、それだけ各部の部品が消耗している可能性があり、将来的なメンテナンス費用が増えるリスクがあります。

中古のBMW i3を選ぶ際には、年式と走行距離のバランスを考慮することが大切です。例えば、年式は古くても走行距離が極端に少ない車両や、逆に年式は比較的新しいものの走行距離が多い車両など、様々な個体が存在します。単に価格が安いという理由だけで選ぶのではなく、自分の予算や使い方に合わせて、どの程度の年式・走行距離のバランスが最適かを見極める必要があります。初期モデルで価格を抑えるか、改良後のモデルで性能を重視するかなど、検討が必要です。可能であれば、複数の候補車両を比較検討し、それぞれの状態をしっかりと確認することが、満足のいく中古車選びにつながります。

修復歴の有無と車両の状態の見極め方

中古車選びにおいて、修復歴の有無は非常に重要なチェックポイントです。修復歴とは、交通事故などにより自動車の骨格部分（フレームなど）に損傷を受け、それを修理した経歴があることを指します。単なるバンパーの擦り傷やドアの凹みの修理などは修復歴には含まれません。BMW i3においても、修復歴のある車両は通常、修復歴のない車両と比較して価格が安く設定されていますが、購入には慎重な判断が必要です。

修復歴のある車両は、骨格部分にダメージを受けているため、修理が完璧に行われていない場合、走行安定性や安全性に問題が生じる可能性があります。例えば、まっすぐ走らない、雨漏りがする、ドアやトランクの開閉がスムーズでない、といった不具合が発生するリスクがあります。また、一度大きなダメージを受けた車両は、将来的に他の部分にも予期せぬトラブルが発生する可能性が通常より高いと考えられます。特にi3はカーボンファイバー強化樹脂（CFRP）製の特殊なボディ構造を持っているため、骨格部分の修理が適切に行われているかどうかの見極めはより重要になります。

中古車販売店には修復歴の有無を表示する義務がありますが、念のため車両状態証明書などを確認し、販売店スタッフにも直接質問することが大切です。さらに、自分の目でも車両の状態を細かくチェックしましょう。ボディパネルの隙間が均一でない、塗装の色合いや質感が部分的に異なる、ドアやトランクの閉まり具合が悪い、といった点は修復歴を疑うサインかもしれません。内外装の傷や凹み、汚れなども、前オーナーの扱われ方を示すヒントになります。価格の安さだけで修復歴車を選ぶのはリスクが高いため、信頼できる販売店を選び、車両の状態を納得いくまで確認することが重要です。

保証の有無と内容、ディーラー認定中古車のメリット

中古車を購入する際、特にBMW i3のような電気自動車（EV）や輸入車を選ぶ場合には、保証の有無とその内容をしっかりと確認することが非常に重要です。中古車は新車と異なり、ある程度の消耗や経年劣化があるため、購入後に予期せぬ故障やトラブルが発生する可能性があります。保証が付いていれば、保証期間内に対象となる部品が故障した場合、無償または割引価格で修理を受けることができ、余計な出費を抑えることができます。

中古車保証には、販売店が独自に設定しているものや、保証会社が提供しているものなど、様々な種類があります。重要なのは、保証期間（例：3ヶ月、1年など）と保証範囲（どの部品が保証の対象となるか）を具体的に確認することです。特にEVの場合、高額な部品であるバッテリーやモーター、充電システムなどが保証の対象に含まれているかは必ずチェックしましょう。保証範囲が狭いと、いざという時に保証が適用されず、高額な修理費用を自己負担しなければならないケースもあります。保証の免責事項（保証が適用されないケース）や、保証修理を受ける際の条件（指定工場での修理など）も確認しておく必要があります。

より安心して中古のBMW i3に乗りたいのであれば、BMW正規ディーラーが販売する「認定中古車」を選択するのも良い方法です。ディーラー認定中古車は、厳しい品質基準に基づいて点検・整備されており、車両の状態が良い個体が多い傾向にあります。さらに、多くの場合、新車保証に準じた手厚い保証（例：1年間走行距離無制限保証など）が付帯しており、バッテリーに関する保証が含まれていることもあります。価格は一般的な中古車販売店の車両よりも高くなる傾向がありますが、その分、品質や購入後の安心感という面で大きなメリットがあります。保証内容と価格のバランスを考慮し、自分にとって最適な選択肢を見つけることが大切です。

充電環境の確認と自宅での充電設備の必要性

BMW i3をはじめとする電気自動車（EV）を中古で購入する際には、車両本体のことだけでなく、充電環境についても事前にしっかりと確認しておく必要があります。EVの利便性を最大限に活かすためには、自宅での充電環境を整えることが非常に重要になります。夜間などクルマを使わない時間に自宅で充電できれば、毎朝満充電の状態で出発でき、ガソリンスタンドに行く手間も省けます。これにより、日々の運用コストを抑え、快適なEVライフを送ることができます。

戸建て住宅であれば、比較的容易にEV用充電コンセントや充電器を設置できますが、設置には電気工事が必要となり、初期費用がかかります。マンションなどの集合住宅にお住まいの場合は、充電設備の設置に管理組合の許可が必要だったり、そもそも設置スペースがなかったりするケースが多く、ハードルが高くなることがあります。購入前に、自宅の駐車場に充電設備を設置できるかどうか、設置できる場合は費用がどのくらいかかるのかを確認しておくことが不可欠です。自宅で充電できない場合、日常的な充電を公共の充電ステーションに頼ることになりますが、これは時間的にも費用的にも負担が大きくなる可能性があります。

自宅充電が難しい場合や、長距離移動に備えるためには、公共の充電ステーションの場所や利用方法、料金体系についても調べておく必要があります。急速充電器と普通充電器の種類があり、それぞれ充電時間や料金が異なります。スマートフォンのアプリなどを活用すれば、近隣の充電ステーションの場所や空き状況を簡単に検索できます。また、BMW i3のモデルによっては、利用できる急速充電の規格（CHAdeMOなど）が異なる場合があるので、購入を検討している車両の仕様も確認しましょう。充電インフラの状況は地域によって差があるため、自分の生活圏内やよく利用するルート上に、利用しやすい充電スポットがあるかどうかも重要な判断材料となります。

購入後の維持費（税金、保険、整備費用）の見積もり

中古のBMW i3を購入する際には、車両本体価格だけでなく、購入後に必要となる維持費についても事前に把握しておくことが重要です。維持費には、税金、保険料、そして整備費用などが含まれます。これらのコストをあらかじめ見積もっておくことで、購入後の経済的な負担を予測し、無理のないカーライフプランを立てることができます。特にi3は電気自動車（EV）であり、一部はレンジエクステンダーというエンジンも搭載しているため、通常のガソリン車とは異なる点があります。

まず税金についてですが、EVであるi3は、購入時や毎年の自動車税、車検時の重量税において、エコカー減税などの優遇措置を受けられる場合があります。年式やグレードによって適用される減税額は異なりますが、一般的にガソリン車と比較して税負担は軽くなる傾向にあります。ただし、レンジエクステンダー搭載モデルの場合は、排気量に応じた自動車税が必要になるなど、純粋なEVモデルとは扱いが異なる場合があるので注意が必要です。お住まいの自治体の税制についても確認しておくとよいでしょう。

次に保険料です。自賠責保険はどの車にも加入義務がありますが、任意保険については、車両の特性や価格に応じて保険料が変わります。i3は輸入車であり、車両価格も比較的高めであること、またEV特有の部品（バッテリーなど）の修理費用が高額になる可能性があることから、車両保険の料率が高めに設定されている場合があります。複数の保険会社から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。最後に整備費用ですが、EVはエンジンオイル交換などが不要なため、ガソリン車に比べて日常的なメンテナンス費用は抑えられる傾向にあります。しかし、ブレーキパッドやタイヤなどの消耗品の交換は必要ですし、定期的な点検も安全のために欠かせません。特にバッテリーやレンジエクステンダー（搭載モデルの場合）など、EV特有の部品に関する将来的な修理や交換費用も考慮に入れておく必要があります。ディーラーや専門ショップに相談し、おおよその整備費用についても情報を得ておくと安心です。

まとめ：BMW i3中古車が安い理由と購入時のチェックポイント